1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「あの、いいんですか」

「ん?いつもいつも。それにしても、よもにそんなこと出来るバカいたんだなぁ」

「…」

 神野くん絶句です。

 剣人さんは手早く消毒してくれて、透明なピアスをつけてくれました。

「よも、また外してやるから、勝手にとるなよ。あと、毎日ちゃんとケアすること。まぁ、桃が分かってるからやってもらえな。1か月はそのままだぞ。遊びに行く時に取ってやるから、それまでにいいの見つけとけ」

「はい。ありがとうございます」

「ん。で、神野くんだっけ?キミは開けんのか」

「あ、はい」

「んじゃこっち来い」

 神野くんと席交代です。

「両方か?」

「いえ、片方1つだけでいいです」

「…青春だな。ま、がんばれ。お前も透明でいいな」

 何やらよく分からない会話をしながら、剣人さんは神野くんの耳を消毒して、ピアッサーを構えます。
 普通はこうするんですね…。

 行くぞ~と言いながら、神野くんの耳元でバチンッと大きな音。
 あっという間にピアス付きました。
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