1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「気に入ったか?」

「うん!お父さんありがとう。大事にするね」

「あぁ」

「それが付けられんのは1か月後とかからだな。まぁとるときはまた剣人にやってもらうぞ。秋空くんもな」

「何から何まですみません」

「いいんだ。お前も俺の子どもみたいなもんだからな」

 お父さんいつの間にか神野くんも息子宣言です。
 もちろん神野くんはビックリでしたが、やがて少し照れたように笑いました。

 嫌じゃないみたいです。そんな神野くんにお父さんは穏やかな表情で見つめていました。

 そんな和やかな雰囲気の中で、来客を告げるチャイムの音。
 その途端、険しくなるお父さんの表情。まさか…?

 お母さんが出ようとするのを制したお父さんは、自ら玄関へ向かいます。
 どうしたんでしょうね。

「秋空くん、うるさいと思うけど、うざかったら殴っていいから」

「え?」

 あれ、お母さん何故だか現役時代の表情に…。

 ということはまさか?
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