1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

対立


 翌日、リビングに行ったらまた大人が転がってました。

 あ、でも今回はお母さんはちゃんとベッドで寝たみたいですね。

 私と同じ時間に起きたお母さんは、リビングの惨状に少し呆れ顔です。

「はぁ、変わんないわね」

「お母さんも変わってないよ」

「よも、何か言った?」

「…イエ、ナンデモアリマセン」

 朝からなんだか悪寒がしました。いやぁ、11月も今日で終わり、冬は寒いですね~…。

 お母さんに見送ってもらって家を出ます。

「おはよ、晴野」

「え?うわっ!?」

「なんだよ。幽霊視たみたいな声出して」

 少し不機嫌そうな神野くん。背を預けていた塀から離れて私の元にやってきます。

 …いつからそこに…。

「お、おはようございます…」

「ん。…嫌だったか」

「いえ、でもいつからここに?」

「10分前くらいだな。晴野学校行くの早いから、何時に出てんだろうって思ってさ。いつも一緒に行こうと思っても学校近くでしか追いつかねぇから」

 それで待っていてくれたんですね。それにしてもびっくりしました…。
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