1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「やめてくださいッ。神野くんは私の友達だって、昨日言ったじゃないですか!神野くんも、もういいから教室行きましょ?ね、ケンカしないでください!」
「蓬、どけ」
「嫌です!神野くん殴ったら、嵐鬼のこと、本当に嫌いになりますよ」
「よもちゃん!」
「雷斗くんもいい加減にしてください!何回神野くんとケンカしているんですか!」
この場を収めたいのに全然収まる気配がありません。周りの視線もどんどん酷くなる。
嫌だ、見ないで…。私はッ…!
「…神野くんも嵐鬼ももう知りません!!二度と話しかけないで!!」
「え、ちょ、晴野!?」
「蓬!!」
野次馬をかき分けて教室に向かう。
後ろから神野くんが慌てて追いかけてきますが、もう知りません。
なんであんなに目立つことするんですか。なんで話を聞いてくれないの?
「晴野、おい!!」
野次馬に阻まれて神野くんの声が遠くなる。今のうちに逃げちゃいましょう。
何とか昇降口にたどり着いて、上履きに履き替えて教室に向かいます。
教室に向かうまでも視線が絶えない。
もう、私に構わないで!!