1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
ケンカ
視線から逃げたい一心で教室に飛び込むと、教室が静まり返ったのを感じました。
顔を上げると、女子からは嫉妬と憎悪の視線、男子からは好奇心となにやら不穏な視線を向けられていることに気づきました。
「…ねぇ、晴野さん」
「…何ですか」
1人の女子生徒が声を上げ、ゆっくりと近づいてきました。
その後ろには女子が3人と男子が4人…。
後ずさりしかけて、教室のドアがいきなり閉まってしまいました。
外に数人の人影があります。
…閉じ込められた?
「あなたさ、邪魔なんだよね…」
「何がですか」
「存在が、なにあんた色目使って神野くんも、雷斗くんも…朔夜様まで…」
「な…違う!私は…」
「何が違うってのよ!さっきのも見せつけな訳?あんたのために、神野くんも嵐鬼の皆様まで、あんなにムキになってるのよ!?私たちには何も声だって掛けてくれないのに!!」