1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「何で言っちゃうんですか?手出したら言い逃れできないのに」

「…晴野、お前って意外に腹黒いよな。まぁ、そこがいいんだけど」

「…っち、くっそ!!」

 男子話聞いてたんですかね。思いっきり手上げてますよ。

 殴る対象は…なぜ神野くんなんですか!?

 私が恨み買うことしているのに、神野くんが殴られるいわれはありません!!

 間に入ろうとした途端、神野くんに片手で阻まれてしまいました。
 そうしている間にも拳が…。

 パシッー

「え?」

「…証拠、撮れただろ」

 神野くんに殴りかかった男子は、その拳が神野くんにきれいに受け止められていることに呆然としています。

 うわぁ、きれいに受け止めてる。現役の頃のお父さんみたいです。

 って、そうじゃなくて…。

「と、撮れてると思います」

「なぁ、晴野。手出されて後に、やり返す場合は処罰あったっけ?」

「…神野くん、何考えてます?」

 予想は出来るんですが、殴られそうになった相手の拳を握り潰すんではないかというくらい力入っています。

 ついでに殴りかかった男子は真っ青ですね。
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