1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「晴野、一体何があったんだ。全部初めから話してくれ」

「…公庄先生、神野くんや嵐鬼…松葉さん、山越さん、毛利さん、小場さん、海原さん、大宮くんの7人は無実なんです」

「それは、先生たちで決める。だから、話してくれ」

 それはそうですよね…。

 事の発端であるのは私とクラスメイトの女子生徒の口論。
 普通なら女子生徒も呼ばれるべきだったんですが、彼女はやってないと事実をすべて否定し続け、担任を呆れさせたのでこの場には私のみ呼ばれました。

 不公平だと思われるような場。
 でも、私が情報屋であることから、公庄先生が「晴野は事実だけを教えてくれるはず」という信用で、この場が成り立っています。

 ですから、神野くんや嵐鬼のみなさんが処分なしとなるような言動はしてはいけないということ。

 ただ、事実だけを伝える。それが公庄先生から私への条件。

 先生たちの視線が突き刺さるのは決して気持ちのいいものではありませんが、少しずつ話しはじめました。
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