1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「…つまり、晴野への理不尽な嫉妬がことの発端で、神野がそれを悪化させたと」
「…否定できません。でも、私も彼らを煽るようなことを…」
「それは先ほどの録画に入っていた音声でよく分かったよ。でも、神野が事態を大きくしたのは事実だ」
公庄先生の言葉に何も言い返せません。
確かに、神野くんがあそこで手を上げなければこんなことにならなかったのかもしれない。
でも、悪いのは神野くんだけじゃない。私が、あんなこと言わなければ…。
「…とにかく、このカッターで切りかかった生徒。こいつは退学で決まりだ。書類送検も視野に入れる。そして、はじめに晴野さんを囲んだ7名については停学、もしくは退学処分。…問題は神野秋空をはじめ、松葉朔夜たちも処分を…」
「ッ!?校長先生!神野くんは私を守ろうとしただけです!彼への処分は私が受けます。だから、神野くんに何も…」
「晴野、落ち着け」
担任に肩を持たれ座らされました。でも、神野くんは…。