1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「…晴野、神野に好意があるのか」
「え?」
「事情を説明していた時はなかったが、終わった途端、神野を庇うような発言ばかり。そうなっては、こちらも晴野の証言を信じられなくなるんだ」
「…それは」
「神野と仲良くしているのは知っている。でもな、処罰を肩代わりするのは友情か?晴野はもっと冷静に物事を見られる子だろ?」
公庄先生の言う通りなのかもしれない。
でも、いじめられそうになった時、神野くんは1番に私を助けてくれた。神野くんがいなかったら、私は絶対にいじめられてた。
初めてお父さんや嵐鬼のことを抜いて、私だけを見てくれる友達に出会えた。
そんな友達を庇いたいって思うのは、いけないことなんですか…?
何も言えなくなった私の頭上で話は進んでいく。
このまま、神野くんに処分が下るのかな…。
もし、それが決まったら保護者が呼び出されて同席での指導になる。
もし、もしそうなったら神野くんはどうなるの?
施設長が呼ばれでもしたら、最悪の形で再会してしまう。
そんなの、嫌です…。