1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「晴野」

「ッ…神野くん」

「なんて顔してんだよ。ほら、泣くな」

 呼び出されたであろう神野くんは、困った顔して頭を撫でてくれました。

 自分の方が大変なはずなのに、なんでこんなに優しくするんですか…。

「大丈夫だって。晴野ちゃんと言ってくれたんだろ?」

「でも…」

「それで下った判断なら、俺は受け入れる。晴野に怪我なくてよかったよ」

「…ごめんなさい」

「謝んな。謝るくらいなら、むしろ感謝してほしいんだけど?…また、遊びに行こうぜ。冬休み、クリスマスとかいろいろあるしさ」

「…はい」

「神野、入れ」

 いつの間にドアが開いていたんでしょうか…。
 中から担任が顔を出していました。

 神野くんは私の背を押し、教室戻ってろと笑いかけて部屋に入って行きました。
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