1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「ごめんなさい。今までずっと…」

「え?あ…はい?」

「今まで緒田さんが怖くて、なにも出来なくて…」

 えっと…なんで謝られているんでしょうか。目の前で頭を下げている女の子に加え、彼女の後ろにいる女の子や男の子たちまで頭を下げてきました。

 あ、緒田さんというのはカッターの人です。

 え…えぇ!?

「ちょ、やめてください!あんな状況で口出しできる人いたら逆に褒めたいくらいですよ。それに、私だって逆の立場だったら絶対に関わろうとしません。だから、頭を上げてください。あなた達が悪いなんてことないじゃないですか」

「でも、先生にも言えなくて、この前のときしか言えなかったから…」

 あ、あの時やたら体格のよい先生が駆けつけて来たと思っていたら、言いに行ってくれた人がいたんですね。

 なるほど、それであの暴動に対抗できる先生たちが…。
< 300 / 313 >

この作品をシェア

pagetop