1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「晴野」

「え?」

 あれ、幻聴でしょうか。学校にいないはずの神野くんの声が…。

「は・る・の。ぼけんな!」

「あわわ!?なんで神野くんが!?」

「最終日だから指導。下駄箱に晴野の靴あったから、まだ帰ってねぇんだって思ってさ」

 2週間ぶりの神野くんです。
 なんだか懐かしいです。

「2週間、大丈夫だったか」

「はい。クラスメイトとお話しできました」

「ふ~ん。俺がいなくても楽しそうじゃんか」

「…楽しくはなかったですね。逆に疲れました」

「お前、ほんとにはっきり言うよな」

 呆れさせちゃいました。

 でも、なんか、気兼ねないってこういうこと言うんでしょうか。
 神野くんには素の自分でいられる気がします。
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