1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 2人で帰るのも何だか久しぶりです。隣に歩いている神野くんを見上げて、こっそり笑ってしまいました。

「何笑ってんの?」

 あ、見られていたみたいです。

 神野くんは苦笑したような顔で私を見ていて、たったそれだけなのになんだか本当に久しぶりな感じがします。

「神野くんと帰るの久しぶりだなと思いまして」

「まぁ、2週間ぶりだもんな。というより、まさか公庄が協力者だとは」

「言ってなくてすみません…」

「別にいいよ。でも、おかしいと思ったんだよな。呼びだされて話聞かれたときに公庄の奴、やたら優しくてよ。殴ったのも、晴野がいじめられそうになっているのを見ていられなかったんだろ?って。晴野がいくら大人しい生徒だとはいえ、1人の生徒のことをこんなにひいきするか?って思ってさ」

 公庄先生、なんだかんだで庇ってくれたみたいです。

 でも、本当に大ごとにならなくてよかったです。
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