1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「じゃあ、晴野の列からな」

「あ、はい…」

 一番に引くんですね。まぁ、どこに行っても結局前に行くわけですが。

 先生の用意した袋から紙を1枚取って後ろへ。
 え~と、1番後ろですね。誰かに代わること間違いなし。

 クラスメイト全員引き終えると、荷物を持って移動開始です。
 さて、誰と交代になることやら。とりあえず引いた席へ。

「よも…晴野さんここなの?」

 雷斗くん、思いっきりよもちゃんって言いかけましたね。
 クラスメイト達もざわざわしているので、気づいていないようなのでいいですが…。

 頷くだけすると、雷斗くんは申し訳なさそうに引いた紙を差し出してきました。

「窓際の2列目の1番前なんだけど、いい?」

 むしろ本望です。再び頷くだけすると、雷斗くんはこっそりサンキュと言って紙を取り換えっこです。さてと、前へ行きますか。

 窓際から2列目の1番前。先生と目が合って、またかと苦笑い。とりあえず席に着くと、窓際の席のお隣さんは男の子のようです。



 全員が席に着き終わると、先生は座席表に名簿番号を書き上げて、朝のHRはおしまいです。
 同時にクラスメイトの半分以上が教室からいなくなります。いつものことです。

 1限は数学ですね。おじいちゃん先生の声は眠くなります。今のうちに目を覚まさねば…。

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