1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「蓬」
呼ばれて振り返れば、朔夜さんに手招きされてました。輝星さんもすんなり離してくれたので、朔夜さんの前まで移動します。
「ん」
「へ?」
「昨日、誕生日だろ。俺らから」
差し出してくれたのは可愛らしくラッピングされたものです。まさか朔夜さんたちにも覚えてもらえていたとは、感激です。
「ありがとうございます。開けてみていいですか?」
「あぁ」
許可を貰って早速開封です。
「え!?」
出てきたのは嵐鬼の仲間を意味するピアスです。
じゃなくて!どうしてこんなに大事なものを!?
「朔夜さん、受け取れません!」
「つけなくてもいいから持ってろ」
「でも、私は嵐鬼ではありません」
「お前にそのつもりがなくても、俺らにとっては仲間だ。これは嵐鬼の総意でもある」
「でも…」
「蓬、お前は俺たちの仲間であることに不満か」
不意に朔夜さんの表情が陰りました。突然過ぎて私の頭はパニックです。