1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「蓬」

 呼ばれて振り返れば、朔夜さんに手招きされてました。輝星さんもすんなり離してくれたので、朔夜さんの前まで移動します。

「ん」

「へ?」

「昨日、誕生日だろ。俺らから」

 差し出してくれたのは可愛らしくラッピングされたものです。まさか朔夜さんたちにも覚えてもらえていたとは、感激です。

「ありがとうございます。開けてみていいですか?」

「あぁ」

 許可を貰って早速開封です。

「え!?」

 出てきたのは嵐鬼の仲間を意味するピアスです。

 じゃなくて!どうしてこんなに大事なものを!?

「朔夜さん、受け取れません!」

「つけなくてもいいから持ってろ」

「でも、私は嵐鬼ではありません」

「お前にそのつもりがなくても、俺らにとっては仲間だ。これは嵐鬼の総意でもある」

「でも…」

「蓬、お前は俺たちの仲間であることに不満か」

 不意に朔夜さんの表情が陰りました。突然過ぎて私の頭はパニックです。

< 46 / 313 >

この作品をシェア

pagetop