1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「渉、情報屋は」

「まだ連絡先も見つかっていません。定期的に連絡先が変わるようで、手に入れたアドレスが既に使い物になっていないんです」

 うぐ、喉にご飯が…。

 慌ててお茶で流し込みます。咳き込まずに済んで1件落着です。

 それにしても、朔夜さん突然過ぎて私はびっくりですよ。

「嵐鬼も情報屋が必要なんですか」

「よもぎちゃんも知っているんですね。情報屋のこと」

「はい、噂程度にしか聞いたことありませんが」

 お父さん、蓬は嘘つきです。

 私が情報屋であることを知っているのは、お父さんにお母さん、そして嵐鬼初代幹部のみなさん。その他には元警察官の広西 hiroseさんや各界のごく一部の人だけです。

 もちろん、現役の嵐鬼のみなさんは私が情報屋であることを知りません。
 知っていたら大変なことになってしまいますね。

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