1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
素顔
応接間に入ると、公庄先生は急に恰好を崩しはじめました。
「公庄先生、お疲れですか」
「こんな生徒ばかり相手していたら、当然疲れるものだよ」
「お疲れのところ申し訳ありません」
「いいんだ。キミのおかげで、息子は助かったんだ。情報屋」
「学校にいる時は晴野蓬です」
「そうだったな」
そう言いながら、公庄先生は優しく笑いました。
学校で情報屋と呼ばれるのはなかなか恥ずかしいですね。
「さてと、暴走族に属している生徒の情報だったね」
「はい。出来るだけ詳しく知りたいです」
「これだけでは足りないかい?」
そう言いながら、見せてくれたのは該当生徒の出席状況、生徒間の繋がりが書かれた物です。あれ、この前とまた変わってる…。
「いえ、充分です。いつもありがとうございます」
「いや。…それより、晴野大丈夫なのか」
「何がですか?」
「神野と大宮のことだ。さっき、挟まれていただろう」
あぁ、あの2人ですか。雷斗くんはとにかく、神野くんは謎ですね。
いっそのこと、相談してみましょうか。