1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「あ、先生これ面白かったです」
「そうかい?じゃあ続きも持ってきてあげよう」
先生に借りていた小説をお返ししました。それ、続編もあるんですね。
先生は嬉しそうです。昔から、生徒とこんなふうに関わってみたかったけど、ここの生徒はそういうタイプがいないから残念だったそうです。
ちょうどその時、応接間の外から公庄先生を呼ぶ声が。
お仕事のお邪魔はしてはいけません。私は撤収しましょう。
「晴野、気を付けて帰るんだよ」
「はい。先生もお仕事がんばってください」
公庄先生は表情を引き締めて応接間を出て行かれました。怖い生徒指導の完成です。
さて、私も帰りましょう。職員室を出る時、もう一回だけ公庄先生に頭を下げて退出。