1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 家に戻ると、やっと肩の力が抜けたような気がします。
 でも、私にはまだやるべきことがあるのです。

 ジーパンとTシャツに着替え、黒いパーカーを羽織ります。
 これでフードを被れば情報屋の完成です。

「ねーね、いってらっしゃい。はやくかえってきてね!」

「ねぇね、いってらっちゃい!」

「うん。行ってくるね」

 はう~天使が2人もいる。2人を順番にギュッとして情報屋出陣です。

 とは言っても、お金を寄付しに行くだけなんですけどね。

 真昼間からフードを深くかぶったら逆に悪目立ちしそうなので、フードは取って行きます。

 学校からどんどん離れていく方向に歩いて行きます。

 15分くらい歩いたでしょうか。目的地が見えてきました。
 そこでやっとフードを深くかぶって顔を隠します。変声機の電源もばっちりです。


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