1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
2.仲間
見つかりました
今日のご飯は何でしょうね~。
お腹がすきました。きゅるきゅるいいそうです。あう~…。
「ッ!!」
背後からなんだかすごい気配。振り返ると同時に、右腕を掴まれてしまいました。
速すぎです!!?
「あんた、情報屋だろ!?」
「ッ!!?」
聞き覚えのある声。ゆっくりと視線を上に向けると、そこには予想通りの人物。
…なんだか今日は彼に振り回されっぱなしですね。
神野くん…。
神野くんは肩で息をしながら、私の腕を離さないというようにしっかり握っています。
とりあえず、変声機の電源をいれて…。
『手を離せ』
ふむ、ちゃんと電源は入ったようです。しっかり声が男性の声になってます。
「逃げないか?」
『取引がしたいのなら、連絡先を探し出せ。それがルールだ』
「違う!…違くないけど…。でも、俺はあんたと取引をするだけの関係になりたいわけじゃない!」
神野くんの声は必死で、彼の本気さが伝わってきます。さて、私はどうするか…。