1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
『とにかく離せ。痛い』
「え、あ…悪い」
ようやく離してくれた手。掴まれた腕はジンジンしています。
うわぁ、手形残りそう…。
それより、神野くんは一体何の目的で情報屋に近づいたのでしょう。
場合によってはそれ相応の覚悟も必要ですね…。
『何の用だ』
「…俺を、あんたの仲間にしてほしい」
仲間…?
それは、どういう意味でしょうか。
情報提供者としての協力者なのか、それとも活動を共にし、背を預けるという意味での仲間…。
神野くんの言っているのはおそらく後者。
そんなの、答えは決まってる。
『必要ない。俺は1人でやる』
「1人で全部背負うのかよ」
『それがどうした。俺は今までずっと1人でやって来たんだ。今さら仲間など必要ない』
そうだ、必要ない。情報屋としての私にも、晴野蓬としての私にも。
仲間なんか、必要ない。