1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「おかえり、よも」

「よも、おかえり~」

 お父さん、お母さん…。

 急に視界がぼやけ始めてしまいました。ダメだよ。泣いたらダメ。


 あぁ、今日は本当にダメだ…。


 急に泣き出した私を、智希も望亜もびっくりして狼狽えてしまっています。

 なんで泣き止めないの…。

 思いとは裏腹に、涙は止まることを知らなくて、その場に座り込んで両手で顔を覆う。

「よも」

 お父さんの声。頭に温かい重みが乗ります。


 あったかい…。大丈夫。私は大丈夫だよ…。

「…よも、立てるか?」

 お父さんの声に頷いて、ゆっくり立ち上がる。
 お父さんに肩を持たれ、リビングを出て2階のお部屋に行く。

 私の部屋に入ると、お父さんは電気もつけないで私をベッドに座らせると、自分もその隣に座りました。
 1人用のベッドが重みでぎしぎしと音を立てる。

「よも、どうした?」

「…ごめんなさい。動揺してしまって…」

「いいんだ。泣くことは悪いことじゃない。泣くのを我慢しすぎて、泣けなくなってしまったあの頃より、ずっといいんだよ」

 お父さんは私の頭を自分の肩に寄せて、撫でてくれました。

 体が重い。今日は疲れました…。

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