1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「よも、クラスメイトの子が怖かったのか?」

 お母さんに聞いたんでしょう。お父さんもお母さんも私を大事にしてくれています。

 気だるげに頷いても、お父さんは怒らないで頭を撫で続けてくれます。

「そうか、なら嵐鬼に頼んで屋上にいればいい。向こうが話しかけて来なくなるまで無視すればいい」

 そうですね。しばらくはそうした方が私は自分でいられるかもしれないです。

 さっきまであんなにお腹が減っていたのに、今は眠くて仕方ありません。

 お父さんは気づいたのか、ベッドから立ち上がって私をベッドに寝かしつけてくれました。

「よも、安心して寝ればいい。明日は休めばいいよ」

「…寝るまで手、握ってて…」

「あぁ、だからほら、安心して寝なさい」

 ぎゅっと力強く握られた手。


 大丈夫。お父さんが傍にいてくれる。だから大丈夫。


 落ちて行く瞼に私は逆らうことをせず、意識を手放しました。

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