1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「よも?」

「ごめんなさい。お父さんもお母さんも明日お仕事なのに」

「蓬」

 お父さんが私を蓬と呼ぶときは、真剣な話の時だけ。

 顔を上げると、お父さんは仕方がないなと言うように苦笑を浮かべていて、頭をくしゃくしゃに撫でられました。

「蓬、我慢するな。お前が壊れるくらいなら、迷惑かけろ。素直に甘えてこい」

「…うん」

 やっぱりお父さんはあったかいです。

 素直に頭を撫でられていると、お母さんに呼ばれて台所へいきます。
 お母さんはあったかいおかゆを用意しておいてくれました。

「よも、明日学校休んでともとみあ見ててくれない?一緒に遊んであげて」

「あ…うん。でも、あの…」

「大丈夫よ。7時くらいなら私も清牙も帰ってきてるわ」

 最後まで言わなくてもお母さんもわかってくれています。

 こんなに私を大事にしてくれるお父さんとお母さんがいて私は幸せ者です。

 本当の子どもではないのに、こんなに大事にしてくれんです。
 だから、私のことを不幸だと言う人は絶対に許しません。

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