1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「よも、お粥食べな」

「うん!」

「よも、隣おいで」

 ソファに座るお父さんの隣に座って、お母さんが差し出してくれたお粥を食べます。
 熱いけど、2人のあったかさが伝わってくるみたいです。

 お母さんもソファに座って、私はお父さんとお母さんに挟まれてます。

 私が小さな頃はいつもこうしてご飯を食べていました。なんだか懐かしいです。

「よも、ちゃんと冷ましなさい」

「よも、お茶飲んで食べろ?」

 なんだか今日は過保護です。
 食べ終わって、お母さんの肩に頭を乗せると、優しく抱き締めてくれました。お父さんはさりげなく食器を下げてくれました。

「…そろそろ寝るか。よも、一緒に寝るか?」

 お父さんがそう言った頃には3時を回っていました。
 すっかりお父さんとお母さんを付き合わせてしまいました…。

 お父さんが意地悪な顔をして、聞いてきます。
 こんなときはどう返すべきなんでしょうね。でも、うーんと…。

「時間切れ」

「わわ!?」

 ひょいっと抱き上げられてしまいました。

 だから一体その細い腕に私を支える力があるんですか!!

「よもは俺の布団な」

「あら、よもは私と一緒に寝るのよ?」

「前の時も桃だっただろ?」

「そうだった?」

 なんだか静かな火花が散っているような?喧嘩はしないでください…。

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