1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「お母さん、いつから休業するの?」

「ん?今週いっぱい働くわ。来週から大人しくしてるつもり」

「家事手伝うよ?」

「ありがと、よも。お母さんよりよもの方が頼れるわ」

 お母さんの言葉に、私は思わず笑えなくなってしまいました。


 お母さんのお母さん。つまり、おばあちゃんとは今絶交に近い形なのです。それは、お父さんの両親とも同じで…。

 理由は、お父さんとお母さんの現役時代にまでさかのぼる。

 荒れていた2人は、親との関係を切られてしまったんです。

 でも、最大の理由は私。
 17歳でお父さんは身元不明の私を拾った。そんな私を娘として育てると言った、お父さんに両親は激昂。
 見ず知らずの子どもを育てるなんてバカだ。また、血の繋がりがない以上、どんな子に育つかわかったものじゃないと。

 それ以来、滅多におじいちゃんとおばあちゃんには会っていません。会ったとしても、煙たがられてしまうので、正直苦手です。
 でも、智希と望亜にはなんだかんだ言いながらも優しいのです。

 だから、おじいちゃんもおばあちゃんもただ、自分の子どもが心配なだけだと思うんです。
 だから、私さえいなかったら、きっと、おじいちゃんたちとは…。

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