1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「蓬、変なこと考えるな?」

「あ…う…」

「蓬、お前の親父は俺だろ?」

「はい」

「なら、それでいいじゃねぇか」

 本当にお父さんはエスパーです。

 私の用意したご飯をお父さんもお母さんも残すことなく食べてくれました。
 お弁当も、お父さんなんて職場の人に自慢すると意気込み始めてしまいました。

 恥ずかしいので勘弁してください…。


「う~ん」

「あ、ともくんおはよ」

「ねーね、おはおー」

 目を擦りながら智希が起きてきました。あれ、ということは…。

「ふぇぇぇえええん」

「みあちゃん!?」

 そりゃそうですよね。1人で寝てたらさみしいですよね。

 智希はお母さんに任せて寝室まで飛んでいくと、望亜が布団に転がったまま大泣きでした。抱き上げるとしがみ付いてきます。

「うぅ、ねぇね」

「みあちゃんおはよう。おっきする?」

「うん」

 頷いてはいるものの、ちょっと眠そうです。

 とりあえずリビングに連れて行くと、智希が走ってきました。
 あ、受け止める自信なし…。

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