1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
公園にたどり着くと、智希は早速望亜の好きな砂場遊びを始めます。
本当は遊具で暴れたい智希ですが、お兄ちゃんという言葉が効いているようです。でも、後でちゃんと遊具で遊びますか。
「ねーね!おやまてつだって!」
「お山作るの?」
「うん!こーっんなにおっきいの!」
いっぱいに手を広げる智希に思わず笑みがこぼれてしまいます。
望亜は一生懸命穴を掘っては山に砂を被せています。
なんだか懐かしいですね。
私も小さな頃はお父さんやお母さんに手伝ってもらっていろんなものを作っていました。
3人で黙々と穴を掘っては山に被せ、時々水を使って固めてまた砂を被せて…。
どれぐらいやったんでしょうか。
気づけば結構大きくなっていて、望亜はなぜだか泥んこです。汚れてもいい服着てきててよかった…。
「おっきくなったね」
「うん!みあ、トンネル作ろ!」
「あいっ!」
今度はせっせと山の麓の方に2人で穴を堀り始めました。
お姉ちゃんは休憩です。ふぅ、あ、私も砂被ってる…。
高校生にもなってこんなことに熱中するなんて思ってませんでした。
トンネル開通を目指して穴を堀り進める智希と望亜は真剣そのものです。見ていて和んじゃいます。