1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 神野くんは眉を顰めると、ため息をついて私の隣に座ってきました。

 なんでどこかに行ってくれないんですか!

「いつも休まない晴野が休んだから気になったんだよ」

「ご心配なく。私はこの通り元気です」

「なら、なんで学校休んだんだよ」

「それは…」

「ねーね!」

 砂場遊びをしていたはずの智希と望亜が戻って来ました。

 立ち上がって、手を広げると2人とも飛び込んできます。

 甘えてくる望亜とは対照に、智希は神野くんの方を見て、威嚇するような顔をしていますね。

「ともくん?」

「ねーね、いじめるな!」

「いじめてない」

 智希がねこだったら、全身の毛が逆立ってますね。
 それくらい全身で威嚇しています。
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