1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 智希と望亜には悪いけど、今日はこのまま帰った方がよさそうです。

「…ともくん、みあちゃん、お家で遊ぼ?」

「うん!」

「ねぇね、えほん、えほん!」

「うん。絵本読もうね。…ついて来ないでください。迷惑です」

 望亜を抱きかかえて立ち上がると、ついてきそうな神野くんに念を押して、公園を出ます。

 智希が時々振り返って威嚇しながら公園を出る。神野くんはこちらを見ているものの、ついてくる様子はありません。

 そのことに少しだけほっとすると、智希が心配そうに見上げてきました。

「ねーね、だいじょうぶ?」

「うん。大丈夫だよ。ともくんありがとね」

「えへへ…」

 昨日から智希に守られてる感じですね。
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