1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「あ!ホットケーキ!」

「けーき!!」

 あらま、起こす手間無くして起きちゃいました。恐るべし、ホットケーキ。

 きゃっきゃと喜ぶ2人にとりあえず1枚ずつ渡すとその場で食べ始めちゃいました。
 望亜は私の服の裾を掴みながらです。

 あう、望亜は何回私を和ませてくれるんでしょうか。

「ねーね!ぼくもつくる!」

「ともくんも出来るかな」

「できる!」

 フライ返しを渡すと、智希は台に登って真剣な目でホットケーキを見つめます。

 望亜を抱っこして、見守っていると、そおっとフライ返しをフライパンとホットケーキの間に滑り込ませ、持ち上げると今度は勢いでひっくり返す。

 きれいにひっくり返ったホットケーキに智希は得意げです。

「にぃに、すごい!」

「そうだね、ともくん上手だね」

「へへっ、ねーねのもつくってあげるね!」

 智希は褒めてもらって嬉しそうです。

 焼きあがったのは望亜の分ということで、手に持てるくらいになるまで冷ましてから手渡している智希。
 望亜はきゃっきゃと笑っています。
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