1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「ただいま~」

「あ、ママだ!」

「まま~」

 玄関から聞こえてきた声に智希と望亜は嬉しそうに玄関に走って行きます。

 あ、ちょうどよさそうなホットケーキをひっくり返します。

「よも、ただいま」

「おかえりなさい。お母さん。仕事休めた?」

 リビングに入ってきた両脇に智希と望亜を引きつれていました。

 望亜はお母さんのおなかを撫でています。もうすぐ産まれてくる妹に興味津々ですね。

「うん。ばっちりね。ホットケーキ?私も食べよっかな」

「ママのぶんぼくつくる!」

「ともが作ってくれるの?」

「うん!」

 智希は張り切って台所に入って来ると、焼き上がったホットケーキをお皿に乗せて、今度は生地を入れるところから挑戦です。

「ねーね、どうやるの?」

「こうやって入れるんだよ」

 手の動きだけやってみせると、智希は生地をお玉ですくい、フライパンの上でそれを流す。

 きれいに丸く広がっていく生地に智希はやったと喜びます。
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