1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 望亜を膝の上に乗せて、お母さんは優しく私と智希に視線を向けています。

 望亜はお母さんのお腹に耳を当てて、妹の音をしっかり聞こうとしています。

「…あ、まま!けった!」

「そうだね、みあに挨拶したのかも」

「あいたいね!」

「そうだねぇ」

 はう、和んじゃいます。
 お母さんも本当に幸せそうに微笑んでいて、望亜は飽きずにまたお母さんのお腹に耳を当てる。

「できた!ママどうぞ」

「ありがとう、とも。レストランに出てくるやつみたい」

「ほんと?」

「ほんとほんと。ともは料理人になれるね」

 智希は嬉しそうに笑い、望亜と同じようにお母さんのお腹に耳を当てる。
 実はさっきから気になってたみたいです。

 さっきので生地がなくなったので洗っちゃいましょう。

 智希も望亜も産まれてくる妹が気になって仕方ないみたいです。

 そう言う私も、実は楽しみです。きょうだいが増えるっていいですよね。
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