1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「よも、何時に行くの?」
「え?…あぁ!?」
しまった!?
今日の取引は2つ離れた駅なのです。
今から急いで家を出て電車に乗ればぎりぎり間に合いそうです。
「片づけはいいから、いっておいで。気を付けるのよ?」
「うん!ごめんなさい。お願いします」
「よも、敬語禁止だからね~?」
リビングから聞こえてきた声に、思わず苦笑い。
お父さんもお母さんも私に敬語を使うことを禁止しているんです。
流石に中学生になれば、本当のお父さん、お母さんじゃないことは分かる。
だから、敬語を使ったら思いっきり怒られました。結構怖かったです。
そんなことを話している場合じゃなく!!
黒いパーカーを羽織って、家を飛び出します。
え~と、変声機はちゃんとポケットにあるから大丈夫!自転車に飛び乗って駅までダッシュです。