TOPsecret─地味子と王子の裏の顔─
車が私の家の前で停まった。
もう夜だから家の前を歩いている人はあまりいないけれど、一応不安だし
車の中でウィッグとメガネを着用した。
『前田さん、送ってくれて
ありがとうございます』
車から降りて
前田さんに挨拶をする。
『はーい、詩音ちゃんお疲れ様。
明日からの学校も頑張ってね』
そう言う前田さんに軽く会釈をしながら
私はドアを閉めた。
前田さんが車を発進させたのを確認するとくるりと回って家の門をくぐる。
『お帰りなさいませ、詩音様』
家の中から小林さんが出てきた。
『ただいま』
『お荷物お預かりします』
小林さんは私のバッグを持ってくれた。
そのまま家の中に入ろうとしたその時……
『あれ?夢野?』
後ろの方から男の人の声がした。
待って 橘くんじゃないよね
むりむり
まずなんでここに橘くんがいるのよ!
『…』
無言で、恐る恐る振り向いた。
家の前の道路に同じ制服姿の男子が立っている。だけど、暗くて顔があまりわからない…
こんな高級住宅地にこの制服の男子がいるの始めて見たんだけど……
『やっぱり夢野じゃん…
え、ここお前ん家なの??』
家の前の道路をちょうど車が通過した。
車のライトでその男子の顔が照らされる。
整った顔。
橘くんだ……