TOPsecret─地味子と王子の裏の顔─

『詩音様、もうお時間が……』


執事の小林さんの一言で時計に目をやると
針は7時40分を示していた。



『わああもうこんな時間!』



鞄を持って、走って玄関まで行く。






『『お気をつけて』』


メイドさんたちからのお見送りを受け、


私は小林さんと一緒に外を出た。




『おはようございます、詩音様。』



外に出ると
専属の運転手さんが
車のドアを開けてくれた。



『おはよう。
今日から行き先変わるけどよろしくね』


私は後部座席に乗り、
シートベルトをしめた。

隣には小林さん。


運転席には運転手さん。


それはいつもと変わらない光景なのに


発車した車の窓からどんどん移り変わる景色を見て、少しだけ緊張してきた。



大丈夫かな、私。



私、新しい学校で
ちゃんとやっていけるかな。









『詩音様、そして小林さん
ここから真っ直ぐ歩いていけば
着きますので』


不安を抱いていると、車がコンビニに停まった。




生徒が大騒ぎするのを避けるため
推定1000万の車は学校には停めない。


これは前の学校でもそうだった。




『送ってくれてありがとう。
あと小林さん、私やっぱり一人で大丈夫だから!』



シートベルトを外しながら、運転手さんと
小林さんを交互に見た。



『いや、しかしもし何かあったら、』

『そんな綺麗なスーツ姿の叔父さんと私が歩いてたら、逆に不思議がられるでしょ?
それにこんな地味子、誰も構わないって!』


小林さんの言葉を遮って
笑顔で車から降りた。



外から車の中に手を降って回れ右をすると、



ドンッ








何か固いものに当たった。
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