中村くんプロデュース大作戦!!
「中村くん、少しお話しない?」
高橋さんが出て行ってすぐそう言われた。
「はい、」
「琴美は、学校ではどんな感じなの?」
「いつも笑顔で元気で明るい素敵な人です。」
僕がそう言うと美里さんは嬉しそうに微笑んだ。
「家でもね、いつも元気いっぱいなのよ、
でも、昔はこんな子じゃなかったの。」
「え‥‥?」
「いつも下を向いてばっかりで、泣き虫で、学校でも地味な方だったのよ。」
美里さんは懐かしそうに目を細めた。
「でもね‥‥ある日、クラスの集金袋がなくなっちゃって、最初に疑われたのが琴美の友達だったの。
その友達はずっと否定して、それを見た琴美はその友達をかばったの。
この子はやってない!って‥‥そしたら今度は琴美が疑われちゃって‥‥
でも、琴美はみんなに責められても落ち込んだり、泣いたりしなかったの。」
「なんでですか?」
「その友達から“ありがとう”って“信じてくれてありがとう”って言われて
みんなに責められても、その言葉が、その友達を守れたのがすごく嬉しくて、その日は笑顔で帰ってきたのよ。
そしたら、その日からどんどん変わっていって、笑顔が増えていって、下を向かなくなったの。」
「そうだったんですか‥‥」
一さんにそんな事があったなんて知らなかった。