そんなに妄想ばかり耽るなら小説でも書いたらいいのよ
「あんまりこの店には来なかったんだ。仕事が忙しい人だったからね。
僕と結婚していた頃は彼女は管理栄養士として企業で働いていたから、毎日新幹線で横浜と新宿を往復していたしね。珈琲を飲む時間も無かったんじゃないかな?
それに介護食の開発担当だったから、毎日試食も多かったらしい。家で食事をする機会もあんまりなくてね。
だから僕たちは夫婦で団欒の記憶がないんだよ。
彼女はテレビも見なかったし。
いつも本を読んでいたんだ。あれは誰が書いた本だったんだろう。離婚して出ていくときに本も全部持っていったから、今となってはわからないな。
夫婦らしい会話もなくて、そうだな、ただの同居人みたいなものだったよ。
でも僕の誕生日にはケーキを焼いてくれたんだ。やっぱりプロの作る料理だからね。何でも旨かったし、栄養のバランスも良かった。
彼女と離婚しないでずっと一緒に暮らしていたら、健康的な生活だったかもしれないな」
僕と結婚していた頃は彼女は管理栄養士として企業で働いていたから、毎日新幹線で横浜と新宿を往復していたしね。珈琲を飲む時間も無かったんじゃないかな?
それに介護食の開発担当だったから、毎日試食も多かったらしい。家で食事をする機会もあんまりなくてね。
だから僕たちは夫婦で団欒の記憶がないんだよ。
彼女はテレビも見なかったし。
いつも本を読んでいたんだ。あれは誰が書いた本だったんだろう。離婚して出ていくときに本も全部持っていったから、今となってはわからないな。
夫婦らしい会話もなくて、そうだな、ただの同居人みたいなものだったよ。
でも僕の誕生日にはケーキを焼いてくれたんだ。やっぱりプロの作る料理だからね。何でも旨かったし、栄養のバランスも良かった。
彼女と離婚しないでずっと一緒に暮らしていたら、健康的な生活だったかもしれないな」