そんなに妄想ばかり耽るなら小説でも書いたらいいのよ
彼は饒舌だった。

私は苦い珈琲を、苦くない顔で飲んだ。



「よく喋るのね」

私がカップを置きながら言うと、彼は満足そうに笑った。


「あなた、結婚していたことがあるの?」

「いや、結婚どころか同棲もしたことないね」



ふふふっ、と私は笑う。

話をふったのはそっちだろ、と彼も笑う。


よく妄想だけでそこまで喋れるわね。

「そんなに妄想ばかり耽るなら小説でも書いたらいいのよ」

私はそう言い、もう一度珈琲を飲んだ。
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