flower*season
「返して。」
高原の持つボールを奪おうとする。
けれど、決してボールを返そうとしない。
「力づくで、取ってみてくださいよ。」
私はボールを掴む手を放す。
新しいボールをとろうと、高原に背を向けた。
瞬間、腕を掴まれる。
高原の腕の中にあったボールがたやすく零れ落ちた。
「何するの。」
高原は何も話そうとしない。
真剣な目で見つめるので、どんな反応をすればいいのかわからなくなる。
いつものような明るい雰囲気じゃない高原に焦りを覚えた。