flower*season
保健室の中にはいると誰もいなかった。
先生も生徒も誰一人としていなかった。
「先生呼んでくるね。」
保健室を出ようとすると高原が声をかけた。
「治療、先輩がしてください。」
「え、私下手だよ。」
「それでもいいので。」
高原の目がしっかりと私をとらえるので、首を横に振ることはできなかった。
棚の中にあるテーピング用のテープを取る。
高原が座っている椅子の正面に座った。
差し出された指は赤く腫れている。
熱がこもって熱くなってもいたが、少し冷たくて、冷却スプレーの余韻が残っていた。