flower*season
不意に上のほうを見てみると氷を入れる袋があった。
手を伸ばして取ろうとするけど、あと少しのところで届かない。
「先輩って小さいですね。」
「うっさい。」
あと少しで届く、そう意気込んで背伸びをした。
そのとき後ろから手が伸びてきた。
背中になにかが触れる。
取るはずだった袋は、わたしではなく違う人が袋を取った。
一瞬なにが起こったのか分からなかった。
けれど、保健室には私と高原しかいないことを思い出すと何が起こったのか分かった。
この背中に感じる感触は高原と触れているから、目のさきの腕は高原の腕。
高原は決してどこうとしない。