flower*season
高原を押しのけた。
高原が持つ袋を取って、中に氷を入れると高原に渡した。
「冗談はやめて。」
自嘲的に笑って言った。
出ようと出口に向かおうとすると、それを高原が阻止する。
「冗談なんか言わないです。」
芯のある声が本音のような感じがした。
「だから「おれは、」
「先輩が信じるまで、何度も言いますからね。」
私の言葉をさえぎり、大きく笑うといつもの高原に戻る。
人懐っこくて、可愛い気のある後輩に。
私は高原みたいにいつものように戻れず、体育館に戻っても動揺したままだった。