flower*season
「メール見た?」
「すみません、見てないです。」
先輩はバツ悪そうな顔で「そうなんだ。」という。
最後らへんは声が小さくなっていて、あまりにも聞き取れなかった。
凜がわかりやすく溜息をする。
「もういいですか。」
先輩は何も言わずに、この場を立ち去った。
先輩は最後まで私のほうを見なかった。
最初から最後まで凜しか見ていなかった。
私には未練はないけど、凜には未練しかない様子。
もう好きではないけど、やっぱり胸がチクチクと痛む。
こんな現場、目の前で見たくなかった。
ぐっと胸の痛みをこらえて、平静を装う。