flower*season
「このまま閉じ込めるのもいいけど、強引は嫌いなので。」
高原が私を離した。
そして立ち上がって、自分の席に戻った。
「名残惜しいなら、もう一度しましょか?」
冗談交じりに笑いながら、高原が腕を広げた。
笑って「馬鹿じゃないの。」って言えはずなのに。
いつものように冗談を冗談で返せばいいけど、そんな風に笑える余裕なんかない。
「冗談でそんなことしないで。」
きっと高原が冗談で好きな人って言ったんじゃない。
冗談でそんなこと言ったりしない人だから、冗談じゃないってわかるけど。
好きなんて言葉、信じきれない。
可愛いなんて言葉も信じきれない。