flower*season









「このまま閉じ込めるのもいいけど、強引は嫌いなので。」






高原が私を離した。


そして立ち上がって、自分の席に戻った。






「名残惜しいなら、もう一度しましょか?」






冗談交じりに笑いながら、高原が腕を広げた。


笑って「馬鹿じゃないの。」って言えはずなのに。




いつものように冗談を冗談で返せばいいけど、そんな風に笑える余裕なんかない。






「冗談でそんなことしないで。」





きっと高原が冗談で好きな人って言ったんじゃない。


冗談でそんなこと言ったりしない人だから、冗談じゃないってわかるけど。




好きなんて言葉、信じきれない。

可愛いなんて言葉も信じきれない。






< 47 / 70 >

この作品をシェア

pagetop