flower*season
「先輩……。」
「いつも余裕な顔して、私ばかり焦って。」
バカみたい。
最後の言葉は出さずに、自分の心の中に閉じ込める。
「余裕じゃないですよ。」
「先輩に嫌われないか心配で、それでも先輩が自分のものになってほしくて。」
高原は一拍あけて再び口を開いた。
「余裕なんかこれっぽちもない。」
高原の言葉が胸に入り込んで、深く沈み込む。
高潮していた気持ちが徐々に落ち着いていく。
高原は何も話さない私を見るだけで、何も話そうとしない。
気まずい雰囲気が二人の間に流れる。