flower*season
「私、帰るね。」
こんな状況で高原に勉強を教えられない。
きっと、気まずくて何もできない。
頭の中をいろいろな感情が駆け回る、信じきれない気持ちと疑う気持ちが。
今まで好きって言われて、信じてもそのたびに裏切られてきた。
信じきれない。
不意に高原を見ると悲しげな表情だった。
それでも旧図書室から外に出た。
三日間勉強を教える約束だったけれど、後輩に代わりに教えるように頼んだ。
高原もなにも聞いてこなかったし、私も高原に話しかけなかった。
私たち二人は何も話さないまま、テストは終わり、体育祭の準備が始まった。