未来の1/fragment
夏海は目の前に立っている丸林に声を掛けた。
「ありがとう」
「別にお前を助けたわけじゃねーよ」
夏海はクスッと笑い、珍しく笑う姿を見た丸林は、思わず夏海の頬をつまんだ。
「木下にあんなストレートな話をして、『はい、分かりました‼︎』ってそう簡単に話が通じる相手じゃないだろ」
「痛い、痛い‼︎離してよ!」
丸林は溜息をつきながら、昇降口へ歩いて行った。
「真弥との話し聞いてたな…」
今日は1日が長く、波乱の予感の気がしてならない。
そこへ校門を通過した堀澤が、丸林の後を追う夏海の姿を見かけた。
「ん?いつから…あいつと仲良くなったんだ?」
眼を細める堀澤は、夏海と丸林の仲を疑うようになった。