未来の1/fragment
丸林が教室を出た後、夏海はそっと床に座り込んでいる堀澤の側に寄った。
「少し無茶したんじゃない⁉︎丸林をまともに相手にしてたら、小さい怪我だけじゃ済まないわよ⁉︎」
「この位、大した事ないよ」
「多少は…。起き上がれそう⁇」
夏海は右手を出して、堀澤は出された右手を掴んで立ち上がった。
「自然と正義感って強くなるんだな」
「冗談はよしてよ⁉︎」
夏海は堀澤を心配そうに見ていたが、堀澤は普段の温厚な笑顔に戻り、両手をポケットに入れる。
「坂尻は部活のこと心配してるんだろ?俺はあいつに手を上げてないから大丈夫だ‼︎」
そう言って堀澤は、夏海の頭を右手で無造作に撫でた。その後、手を離して教室を出て行った。
夏海は堀澤が教室を出て行く後ろ姿を見ながら、右手で撫でられた後の頭を触った。