未来の1/fragment






「どうしてこうなってしまったのか、俺には分からない」


「う〜ん…校長の父親と、出来のいい弟がいて、比べられるのは当然だ。でもな丸林…お前はただ、父親と弟またや家族から逃げてるだけじゃないのか?」



丸林は俯いて笑っていた表情が一変し、ふと真顔になり、膝に置いていた両手を机に肘をつきながら、担任の西岡の目をじっと見る。



「早く家を出て、誰からも監視されない自由な生活を送ってみたいな」



丸林は悲しげな目を向けて席を立ち始め、担任の西岡は慌てて出て行こうとする丸林を呼び止める。



「おい、どこ行くんだ⁉︎まだ話し終わってないぞ」



ドアの前で一度立ち止まり、後ろを振り返る。



「退学でも休学でも、俺はどっちでも良いです」



そう言って丸林は右手でドアを開け、相談室を出て行った。






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